香港レコーディングといえば

前回の記事では所さんが香港でレコーディングしたアルバムについて書きましたが、“大物ミュージシャンの香港レコーディング作”でもう一つ有名なのがブラーの『Magic Whip』。

 
このアルバムに関しては制作される過程を追ったドキュメンタリー映画『NEW WORLD TOWERS』というものがあるので、香港とブラー双方に興味がある方は必見。まぁ、世界的バンドだし2015年の作品なので僕が紹介するまでもなく既にご存知の方も多いと思いますが。
 
1990年デビューのブラーは2002年にギターのグレアムがバンドを脱退してから活動休止状態だったのが、2008年に復帰する事で活動を再開。
そして2013年の海外ツアーで香港に行くも、その後の台北、日本の公演が突如中止になってしまったため、そのまま香港に5日間滞在することになる。
しかしそんな状況でもブラーは休むことなく香港のスタジオに籠り曲作りをするのだ。
 
映画の冒頭から香港の街並みがメインストリートから裏通りなど「生」の日常風景が映し出される。
ブラーの四人はホテルからスタジオまでの移動に地下鉄を利用していたようで、駅の構内や車内の様子も見られる。
 
レコーディング風景よりは活動再開やブラーに対する心情などをメンバーが各々語り、合間にライブ映像が流れる展開。
なのでドキュメンタリーにありがちな、メンバーがレコーディング中に喧嘩したりとかは作品上では見られず、ときおり毒(「あのクズたち」と言ったり)を込めながらも全員がブラーとメンバーの事が好きで、また活動が出来る事を喜んでいるのが伝わってくる。
 
中盤はロンドンのハイドパークでのライブ映像(ものすんごいお客の数!)などを挟み、後半にまた香港の映像に戻る。
 
デーモンがアルバム制作の最中、ソロツアーの帰路に一人で再び訪れた香港での言葉。
 
「一人で香港にいると陰鬱な気分になってきた」
「あの街はとにかく窮屈だし現実離れしてる」
「夢の中にいるような気分になるよ」
「香港は何もかもが慌ただしく熱気に満ちた街だけど自分がペースを落とすと途端に面白くなる」
 
何とも的確な表現。香港に求めるものは人それぞれだと思うけど誰でもおおよそ共感出来るんじゃないかなというくらい香港の魅力を言い表していると思う。
 
楽曲に関してはブラーの公式YouTubeチャンネルで全曲聴けます。
 
アルバムのアートワークは中国系イギリス人のトニー・ハンという人で、CDジャケットやブックレットからしてアジアンテイスト。

 

ザ・マジック・ウィップ

ザ・マジック・ウィップ

  • アーティスト:ブラー
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2015/04/29
  • メディア: CD
 

 

MVも香港人ばかり出てきたりする。
『Go Out』はアイスクリームの作り方動画で、字幕は歌詞ではなくアイス作りの工程が中国語で書かれている。本当に作れてしまうではないか。
さすがに所さんのように中国民族楽器は使っていないだろうと思ったら『Mirrorball』でちょっと入ってます。
『Ghost Ship』は香港(ハッピーバレー)を歌っているし、『Pyongyang』なんて曲もありで、アジアモード。
 
ちなみにデーモンが別でやっているプロジェクト、Gorillaz(ゴリラズ)には『Hong Kong』という曲があって、こちらは古箏でしょうか、中国のお琴のような音が全編に渡ってフィーチャーされています。
 
あぁ、何だかまたブラーがいっぱい聴きたくなってきた。
今なら香港についてどう歌うんだろう。
 

 

blur:NEW WORLD TOWERS(字幕版)

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  • 発売日: 2016/09/28
  • メディア: Prime Video
 
blur:NEW WORLD TOWER [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2016/09/28
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blur:NEW WORLD TOWERS [Blu-ray]

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