中国語学習者の僕が免許を取りに行った話。

基本電車移動、ちょっと頑張れる距離ならば自転車でどこでも行ってしまうエコおじさんな僕ですが、この度仕事の関係で免許を取る事になりました。と言っても原付免許ですが。
 
実はすんごい昔に一度原付免許を持っていたことがあるのですが、乗っていたバイクを手放したあとは放置状態だったため、そのまま失効していたのです。(その後写真付き身分証が他になくモーレツに後悔)
 
まさかこんないい歳になって再び免許を取る事になろうとは・・・。
まぁ、持っていれば仕事以外にも役に立つかも知れないし、何かに挑戦するというのは生活にスパイスを与えてくれるだろうと、昔と同じように問題集を買って勉強。(何一つ覚えてなかった)
 
そして、まぁ何とか受かるかなと思ったタイミングで免許センターへ。
 
コロナ以降、免許更新などの手続きで多くの人でごった返すさまが問題視されていたというイメージのあった免許センター、この日も早朝にも関わらず混雑していた。
 
しかし別の建物にある原付の試験会場は閑散としていて少し安心。
 
受付を済ませ、もらった番号の座席につくと、列がふたつ。この日の原付受験者は40人ほどいただろうか。
 
隣の列には10人ほど。どうやら全員中国人の様だった。
やはり今、どこに行ってもナチュラルに中国人がいるなぁ。
 
ちなみに僕の住む県は全国的にも在留中国人の人口はここ数年5、6番目の多さを推移している所で、免許センターがある地区は特に住んでいる人の多いことで知られている。
 
中国人たちは各々のほとんどが知り合いらしく、みんな若い。留学生なのかな。
そしてどうも日本語はそれほど話せないようで、通訳らしき男性が書類の書き方などを彼らに教えていた。
 
筆記試験が終了。僕は無事合格。
 
受かった人はそのまま視力、色覚検査などの軽い適性審査を受け、免許交付の手続きを済ませる。
 
全員が通過するまで待機していたら、中国人達が検査している声が聞こえてくる。
 
色覚検査では上下に表示された二つの色が何色かを答えるのだが、「赤」「青」を日本語で言えないメンバーが続出!そんなレベルなの??
 
通訳の男性もいるのにその後の手続きも要領を得ずゴタゴタな場面が続き、なかなかに時間がかかっていた。大変だな・・・。
 
その後免許証用の写真撮影を行うために移動。
ここでセンターの職員さんが中国人チームに何か説明をしようとしたのだが、通訳の姿が見当たらない。
それで「通訳さんを呼んで欲しい」と職員さんが彼らに頼もうとするも、言葉が通じない。
 
お互いに困るなか中国人の一人がスマホを取り出し翻訳ソフトを開いて差し出すが、恐らく日本語入力が出来ないのだろう。うーん、うーんと困り果てている。
 
ここまで僕は彼らのことをただ眺めているだけだったが、もう黙っていられない。
そこに割って入り、「大丈夫ですか?」と職員さんに話しかけた。
 
「通訳さんを呼んで欲しいんですけど・・・」と返ってきたので、少し考えてから「ド」が付く片言(になってしまった)の中国語で「さっきいた通訳の男性呼べる?」と彼らに訊くと、「今連絡してる」と、スマホで呼び出してくれた。
どうやらこの男性、センターで雇った通訳なのかと思っていたら実は無関係で、彼らの世話役的な人物なのかな、と状況でようやく理解した。
 
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昼休憩を挟んで午後、まずは筆記試験の会場だった部屋でビデオを見る。
某元サッカー日本代表選手が棒読み全開のナビゲーターとして登場して始まったまでは良かったが、全編日本語オンリーだ。
まぁ、映像を見ていれば何が危ないのかは分かるといえば分かる。けど最前列の男性は後ろから見ても寝てるとしか思えない首の角度をしている。
 
次に外へ出て技能講習。実際にバイクの乗り方を教わり、走行練習をする。
 
ヘルメットの被り方からスクーターの装備、エンジンの掛け方、乗る時の順序、姿勢、スロットルの回し方・・・基本中の基本から事細かに教官が説明してくれる。
 
・・・これも日本語で。
 
ここでも二列向かい合わせで教官がその間に立ち説明しているのだが、向こう側に並んでいる中国人チームの側にまたしても通訳男性の姿がない。
大丈夫か?結構初心者には大事なことだと思うけど??
 
昨今の事情のせいか教官も時折「ゆっくり」=「マンマン」みたく、単語レベルで中国語を入れている。でも声調は合ってないし、通じているのかは不明だ。あとはゼスチャー。やってはいけない事に手でバッテンを作ったり。これだって直前まで日本語オンリーで説明していたのだ。何がダメなのか勘が良くなければ分からないかも・・・?
 
一応、中国語と図解入りのラミネート加工されたシートを見せていたが、たった一枚だったし、短時間でそれだけ見せられても・・・。何が書いてあったのかはよく見てないから分からないけど。
 
だいぶ説明が終わった段階で通訳男性をまた呼んでもらう事に。僕は自分のことよりも彼らがずっと気になって仕方なかった。
 
しかし、やはり呼ぶのが遅かった。
 
実際に走行練習に入ると、どいつもこいつもことごとく危なかしい。そりゃそうだ。みんなコツを理解してないんだもの。
 
「スロットルは徐々に回して、その後は一定に」が分かってないから急発進する者、速度が安定せずガクンガクン走る者・・・。
 
「後方確認」も分かってないから教官に肩を叩かれ「後ろ!」と手で指図されたり。
 
こんな状況でも通訳男性は後ろの方でスマホを見ている。イライラ。何してんだよ・・・。
 
その中でも、二人いた女の子がどちらも特に危うい。そして恐れていたことが起こった。
 
片方の女の子がカーブの走行練習の途中でどうしても曲がり切れず、止まって曲がろうにもどう操縦していいのかすっかり分からなくなってパニックに陥ってしまい、挙げ句の果てには付いていた教官に何か言いながらバイクを降りてしまった。
 
それを見ていた教官の一人が通訳男性に「もう乗りたくないって言ってるみたいですよー」と伝え、ようやく彼女のそばまで行ってなだめる。
 
その後戦意喪失した彼女は別の場所で通訳を横に置いてマンツーマンでもう一度最初から練習直してなんとか復帰。
 
一体この男性は何のために来たのだ。いやむしろ、この男性がいなくても彼らはここに来ていたのだろうか?
男性が話す日本語も少し聞こえていたが、それほど?な感じだったので、やはり通訳というよりはお世話している団体かなにかの人なのかも知れない。
 
ということは通常はこういう役目の人ナシで免許が交付されているのか・・・?
 
原付免許の場合、筆記試験は及第点を取らなければその時点で失格だが、その後の技能講習は審査はないので一通りこなしてしまえばもうこの日から公道に出られる。彼らは本当に大丈夫なのだろうか・・・?命に関わる問題なだけに少し怖くなった。どうか慣れた人にもう一度ちゃんと教わって!
 
中国人に限らずだけど、言葉の問題を抱えながら日本で生活している外国人って大変だろうなぁ、と改めて実感。日本人は対外国人が下手だし。
 
特に在留外国人トップで今後も増えていくであろう中国人。日本で普通に仕事をしていても中国語のスキルを必要とする場面は思った以上に多いぞ、こりゃ。
 
免許証を受け取った嬉しさはそこそこに、中国語の勉強をもっと頑張ろうと気持ちを改めて持ち直し、とても刺激の多い一日となった。