台湾ポップスの歴史を読む

現地の誠品書店で音楽関連のコーナーを物色していたら発見。

『時代廻音 記憶中的台灣流行音楽』李明璁(2015年初版・大塊文化)

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もう表紙からワクワクするデザイン。

台湾におけるポピュラー音楽の歴史について書かれた本ですが、以前触れたように日本ではアジアンポップスという括りで台湾の音楽に関する紹介は各所でされてきたものの、やはり紙面の容量的に大雑把なものしかなかった。

しかし、やはりご当地ではちゃんと一冊の本としてこのようなものがあるではないか。迷わず購入した。

ただ、あたりまえながら全編中国語。さすがにスラスラ読める語学力はないので頑張って読む。
時間はかかるけどある程度の意味は理解出来る。分からない単語を辞書で引けば勉強になるし、好きな分野で台湾音楽の歴史と中国語を学べるという一石二鳥・・・になればいいな。

そんな感じなので全部に目を通すにはかなりの時間がかかりそうですが、ゆっくり読んでいこうと思います。
 
ひとまず分からないなりにざっと内容を見てみると・・・。

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第一章は「流行音樂大物件」。ここでは古くはエジソンによる蓄音機の発明(!)から台湾でのレコード生産(日本統治時代の「台湾コロンビア」、ここだけ日本語表記)、テープ、CD、MP3という媒体の変遷や音楽雑誌、カラオケ(KTV)など、音楽が民間にどう根付いてきたか順を追って紹介されています。
 
第二章「流行音樂大事件」。皇民化運動の一環で抑圧された台湾語の唱歌や戒厳令下での表現に対する制限から映画音楽、社会運動で歌われた歌から現代のアイドルまでどのような音楽が流行してきたか。

第三章「流行音樂大地標」。レコード(CD)ショップやコンサートホールやライブハウス、バーなど実際に音楽に触れられる場所について。
昔はレコードが薬局や文具店でも売られていた?話からかつて台湾にも進出していたタワーレコードにまで話が及ぶ。

そして第四章「流行音樂大人物」。台湾語による流行音楽の起源は1933年という。そこからまた時代時代の流行歌手を紹介。
こうなるともう知っている名前が年代を追うごとに続々登場。テレサ・テンから五月天まで。

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最後は付録として台湾音楽の年表を掲載。資料性の高かった本書を締め括る。
 
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台湾ポップスを語る上で日本でも常に名前が挙がっていた『黒名単工作室』へのボーカル参加でも知られる林暐哲の台湾音楽界での存在の大きさをこの本で改めて認識。

林暐哲は「黒名単工作室」の後『baboo』というユニットを結成して、当時としてもかなーりポップなアルバム『新台幣』を出したり映画音楽を手掛けたりして大変に楽しみだったのですがオリジナルアルバムはこの一枚を残し解散したのがなんとも残念。
その後はレーベルを立ち上げ裏方として新進アーティストをたくさん輩出しているようです。

ちなみにこの『baboo』を知ったのも以前紹介した『電影風雲』のスピンオフ『台湾風雲』でした。本当に大きな影響を与えて頂いたなぁ。

僕自身は最近のアーティストにはまだまだ知識が及んでないですが、台湾で歌番組を観た時若いR&B系?のアーティストが台湾語で歌っていて、黎明期を追っていた立場としてはなんか感慨深いものがあったな…。

現在の台湾ポップスについてネットを見てみるとインディーズシーンを中心にバンドの活躍が目覚ましいのが窺える。
僕も去年台湾に行っていくつかCDを買ってきたけど、いかに台湾の音楽が物凄い勢いで発達してきているかを痛感。だって、カッコいいのいっぱいあんだもん。

これについてはまた別途書きますが、林強がいかに「早かった」ことか。

この夏東京で行われた台湾関連のフェスでもいくつかのアーティストを観る機会があって、どれも素晴らしかった。

日本でライブをするアーティストも増えてきたし、もう‘’アジアンポップス“なんてカテゴライズも野暮ったい。

やっぱり台湾ポップスはかなり面白い。

そしてこの本であるが、もう一冊シリーズとして同じ作家さんが出されているので、こちらも手に入れたい。

台湾に行かなきゃならない理由が出来た。。