閉店間近の九龍城ゲーセン・ウェアハウスに行ってみた

神奈川県川崎市にあるアミューズメントパーク・ウェアハウス川崎
 

以前からその存在は知っていて(有名)一度は行かないとな、と思ってはいたもののきっかけが掴めずに後回しにしていた場所。

 
ウェアハウスは関東を中心にネットカフェやカラオケ店など幅広く展開しているが、川崎店が特に有名なのが施設の外観から内装までが香港の九龍城砦をモチーフにしているところ。
 
その昔九龍城砦に憧れ、香港に渡り現物にたどり着いたにも関わらず中へ入ることが叶わなかった自分としてはここを訪れるのはもはや宿命。
こんなもん、いつだって行ったんぞ!・・・と思い続けて早何年。
よくよく考えればもともと行動範囲にゲームセンターがなかったワタシ。そのため重い腰は上がらないままだったのが、なんと2019年11月17日に閉店してしまうとの報。
もう待ったなしの状況になってしまった。
 
というわけで一路、川崎へ!
 
JR川崎駅から10分ほど歩いた所に“魔窟”はあった。

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住宅街の道路沿いに佇むひときわ異世界感を放つ建造物。隣のマンションとの対比が物凄い。
 
それでいて「あなたのウェアハウス」って。
これだけ聞いたらホームセンターか何かと勘違いする優しい文言が踊る。
 
道路の反対側の歩道橋から外観をひとしきり撮影。他にも同じく写真を撮る人がちらほら。
入り口に近付くと、さらに撮影している人が何人も順番待ち状態で立っている。

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たまたま通りすがった人までなんだなんだと建物に目をやるほど。

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中に入ると狭い通路に人がひしめき合っている。
やはり閉店効果か、平日を狙って行ったものの人口密度はなかなかだった。

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そして「ちゃんとした」カメラ持参で撮る気満々な女子も多かった。てか、カップルを除くと圧倒的に若い女性のグループが多かった印象。
外国人観光客もいた。これは面白いよねぇ。
 
入った瞬間からそこはもうイメージ通りのスラム感いっぱいの空間が広がっていた。

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壁の張り紙なども芸が細かい。香港好きとしてはワクワクが止まらん。

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最初はサクッと写真を撮って帰ろうと思っていたのだが、館内では「九龍城極秘計画」という施設全体を使った謎解きゲームが行われていて、何やらシートを睨みながらあれこれ見回っている人の姿が目立つ。
 
うぅむ、ここまで来てやらずに帰っていいものか・・・、という謎の義務感に襲われ参加することに。
4階の受付に行きキットを購入。1,500円。

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しかし、これが事前にたてていた一日の計画を粉砕することになろうとはこの時は知るすべもなかったのである・・・。
 
 
再び1階に降りてゲーム開始。九龍城に潜む龍によって捕らえられた姫を救う、というのがストーリー。シートに書かれた指令に従ってフロア内に隠されたアイテムを探し、金庫を開ければ上階に進むことが出来るという死亡遊戯システム(香港例え)。
 
しかし・・・もともとこういうゲームが苦手という自分には一人で挑むのは無THE謀というくらい無謀であった。
まず、問題の意味を理解するのに結構な時間を要した(これって僕だけ??)。
そしてゲーム自体が(少なくとも僕には)めちゃめちゃ難しい!
 
決して広くない1階フロアを何度も行ったり来たりすれ違い。新しく入ってくるお客さんも多く、写真を撮っている人も後を絶たないためなかなかに気力、体力ともに消耗が激しい。
 
さらに自分だって元来の目的である写真もちゃんと撮らねばならない。
 
止むを得ずシートに掲載されていたQRコードをスマホに読ませ、ヒントをくれるサイトへ飛ぶ。
そのおかげで金庫を開ける事が出来て何とか2階へ。金庫には次に使うシートが入っている。
 
1階がエントランスなのに対して2階はゲームのフロア。ゲームやプリクラなどの筐体がズラッと並ぶ。そして広い。

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ここのフロアが一番本格的に九龍城砦を再現している見どころであり撮影スポットになっている。

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実際にモデル&カメラマンのような男女もいたり、鶏肉屋のセットなんかは常に誰かが写真を撮っている。

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ここでも写真を撮りつつゲームを進める。本気で考えないと解けないので一生懸命である。もうすっかりこっちをメインに動いてしまっている始末。
 
ここでもヒントに全ゆだねしてクリア。3階へ。
 
3階はメダルゲームのフロア。
 
エスカレーター側に吹き抜けがあり、2階から伸びたセットが上から望める。まぁこれもゲームに使われているんだけど。

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それ以外は壁面が九龍城仕様なくらいで大部分は筐体がスペースを占めている様子。
 
トイレ前にはダメージ加工された「小心地滑」が!

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4階はビリヤード、ダーツ、卓球など。ここも3階と同様。
ワイワイと楽しく身体を動かしている男女のグループを横目にこちらはシートとにらめっこ。
 
そして4階の指令を解くと「受付でキーワードを見せろ」とあったので受付へ。
シートに書き込んだワードを見せると、「正解です」とのお言葉。やった!これで終わり??
 
・・・と安堵したのも束の間、スタッフさんの一言。
 
「これが次のシートです」
 
そらそうだよな。まだ姫出て来てないもん。。
4階分の4章からゲームは「第五章」へ。
 
それにしてもどれくらいの時間が経っているのだろう。全く気にしていなかった。何か飲んだりとか休憩は全くしていない。無駄にストイック。
あと少しで第五章の工程をクリアするところまで来たが、最後がどうしても解けない。
 
もう気力も体力も限界に近づこうとしていた時、ヒントをもらおうと例のサイトを見たらこれをクリアしてもさらに次の「第六章」があるのに気がついた。
 
これで完全に僕の心はポッキリと折れ、やむなくリタイアすることにした。
時計を見たら既に入店してから5時間が経過していた。
ワンフロアで1時間以上使っていたことになる。これはどうなの?我ながらバカすぎん?とちょっと落ち込む思いだ。
 
しかし、周囲を見ると同じ時間帯にゲーム開始していた人の姿も何人か見られたので、やはりそれくらい時間の必要なゲームなのか。そう思いたい。
ただ多くの人が友人や恋人連れでゲームを楽しんでいるのに対し、僕は一人でひたすらに悩みながら時間を過ごしていたのがむしろ問題である。笑
てか、こんなに難しく、長いとは思わなかった・・・。
やはりぼっち君は大人しく写真だけ撮ってれば良かったのか?いや、違う(反語)。
 
おかげで長年行こうと思っていた最初で最後のウェアハウス体験にどっぷり浸かる事が出来たのだ。辛かった事で強烈な思い出にする事が出来たのだ。さすが魔窟。青年期に僕の心を捕えた九龍城をモチーフにしているのは伊達じゃなかった。
 
心身全てを出しきり僕はウェアハウスを後にした。

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外はすっかり暗く、黒ずんだ建物は光に妖しく照らされ、その中に浮かんでいるネオンの「あなたのウェアハウ」という最後の一文字が消えているさまは文字通り迷宮入りしてしまった謎を示しているようだ。こうしてどちらも未完のまま僕のウェアハウス探検は幕を閉じた。
 
 
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と、文章が若干酔ってきていているのはいいとして結局この日はウェアハウスで終わってしまい、川崎を少し歩いただけで帰路についた。
 
調べてみたら川崎店がオープンしたのが2005年。本物の九龍城砦が取り壊されたのが1994年。約20年も経って日本で九龍城砦を再現したというのは余りに大英断。お疲れ様でした。